ツーツートントン

 「もしもし?もしもーし?」


職場のファックスはコピー機兼用、もちろん電話としては使っていない。でも取引先にファックスを送ったら、機械の奥から小さく声が響いてくる。へ?と思いつつ「あ、もしもし?」と返してみたが、後ろに座っている先輩すら反応しない。ファックスなんだから早く受話器置けよ・・・と思いながらも、とりあえず送信できたことを確認して席に戻った十分後、名指しで外線がかかってきた。


 「あの、間違ってファックスを送られていたようなので・・・」
 「え、あ、もしもし?」


英語ならイフイフってところか。ひたすら謝りながら色々聞いてみたが、理由がサッパリわからない。書類やら名刺やらを確認しても取引先の番号は間違っていない。とりあえず再びファックス兼コピー機に向かう。が、やっぱりなんだか様子がおかしい。結局「もしm」くらいでクリアボタン連打連打、うーんうーんと唸っていたら、隣の部署の部長さんがノソリノソリと歩み寄ってきた。


 「ゼロ発信した?」


そう、電話でもファックスでも社内から外線に発信するときは「頭にゼロ」をつけないとダメ。すっかり忘れてた。きれいにひとつケツを押された番号に、上手い具合に発信されていたわけだ。壊れてるんじゃね?なんて言いながら用紙トレイ開けてた。ずっとニヤニヤ観察されてたのか。



・・・とまぁ、こんなふうに会社ってところは罠だらけ。社会人ってのもなかなか楽しいものです。