電車の中で−Part2−

隣に座った中学生くらいの女の子2人。1年生だろうか、「友達欲しいよねー」と話をしている。いやぁこの時期だしなぁ、でもまぁそら色々あるよなぁ・・・なんて思いながらぼーっとしていると、話題は合唱の授業で「翼をください」を歌う話に移る。疲れていた僕は「さて」とうたた寝体制に入・・・



「いま〜私の〜願〜いごとが〜」



お、意外に上手いぞって違うわ。突然車内で歌い始めた2人に、周囲の乗客たちもなんとなく困惑した表情を浮かべながら、でも知らんぷり。



「かな〜う〜な〜〜らば〜〜」



うん、そうね。願い事って大事だよね。そういえば今日の金曜ロードショーは「紅の豚」、時には昔の話もしたいけれど、やっぱり俺は空が飛びたい!だって飛べない豚はただの・・・いや、空を飛ぼうなんて悲しい話をいつまで考えているのだ。人は確かに昔々鳥だったのかもしれないけれどきっとそれはただの夢、というか夢見るもくそもないから願わくばちょっと寝かせて欲し



「居場所が欲しい」(ぼそっ)



・・・思わず吹き出してしまった僕をお許し下さい。くしゃみってことにして誤魔化したが、いやまぁきっと誤魔化せた。「欲しいよねー居場所」「せめてみんなウチらの周りに来てよ!って話よねー」なんて話しながらも、2人はどうもそのフレーズが気に入った様子(そりゃ気に入るさ)。「居場〜所〜が〜〜ほし〜〜い」とリフレインしながら電車を降りていった。いやさ、そんなセンスがあるんだから友達くらいすぐできるよ。頑張れぇ!とエールを送りながら眠りについた昼下がり。しっかり寝過ごすあたりはご愛嬌、ご愛嬌。